麗らかな春の午後。優しい風に櫻の花びらが舞っている。一人の男を乗せたバイクが、二人の少女に別れを告げて去って行く。男は遠い旅にでるかのようだ。「センパイは必ずアタシの元へ帰ってくる」「この『チェリーロード』を通って」どこまでも続く1本の道。その道の遠く、遠く先、事故を起こしたのか、一台のバイクが倒れている…。それが、マンガ『チェリーロード』のラストシーンだった。当時、絶大な人気を得た少女マンガ。作者は、猫田イチゴ。あれから12年。今では、猫田イチゴのことも、『チェリーロード』のことも覚えている人の方が少なくなっていた。今ではマイナーな漫画雑誌に連載を持っているだけだった。ここまでイチゴと二人三脚でやってきた知子も、描けなくなったイチゴをどうすることもできなかった。
【youku 01】