海坂藩の下級武士の娘・野江は、前の夫に病気で先立たれ、磯村庄左衛門と2度目の結婚をしていた。叔母の墓参りの帰りに、磯村との縁談がある以前に縁談の申込があった、剣術の名手で武士の手塚弥一郎と偶然出会う。野江が手塚からの縁談を断ったのは、剣術の名手は怖い人、と言う固定観念を持っていた為であった。しかし、会話をしてみると手塚は、野江が思っていたのとはまるで正反対の心の優しい人である事が分かり、その時から野江は手塚の事が気になる様になっていく。そんなある日、手塚は農政を我が物とし私腹を肥やす諏訪平右衛門に対し、城中で刃傷沙汰を起こして投獄されてしまう。その後、野江は磯村と離縁し、手塚の罪が軽くなる事を毎日祈りながら、手塚の母・志津とともに手塚の帰りを待ち続けるのであった。
【tudou 01】